Q&A
自己破産における弁護士と司法書士の違い|どっちに相談・依頼する?
自己破産は裁判所で行う手続です。
法律等で定められた様々な資料を集め、書類を作成し、裁判所に提出しなければなりません。
また、自己破産の方法を詳しく調べ、どう手続をすればよいかがわかったとしても、日々の仕事や生活に追われて実行に移せないこともあるでしょう。
自己破産を自分で行うと適切に手続をすすめられなくなる可能性もあるので、自己破産を得意とする専門家に依頼するのが安心かつ確実であると考えられます。
自己破産を依頼できる専門家(士業)として一般的に知られているのは、「弁護士」と「司法書士」です。
では、弁護士と司法書士とでは、どちらに依頼する方がよいのでしょうか?
現在自己破産を検討している人や借金等の返済に苦しんでいる人は、本記事を参考にして、相談先をお選びください。
1 司法書士に自己破産を依頼するメリット
まずは、司法書士に自己破産を依頼することでどのようなメリットを受けられるのかを見ていきます。
⑴ 費用が比較的安い
あくまで弁護士と比べた場合ですが、司法書士の方が費用が低くなる傾向にあります。
これは、司法書士は地方裁判所での手続の代理ができないため、弁護士よりも行う業務が少ないというのが理由です。
費用だけで依頼先を判断することは難しいと思いますが、ある程度手続をご自身で進められそうな方であれば、司法書士を検討してもよいかもしれません。
⑵ 書類作成のサポートを受けられる
上記の通り、自己破産は地方裁判所で行う手続ですが、法律上司法書士は地方裁判所での代理権を持っていません。
このため、自己破産申立て後の裁判所での手続は、破産申立人がご自身で行う必要があります。
もっとも、申立てに必要な書類は司法書士が収集、作成しますので、自分で書類を準備する手間は省けます。
2 弁護士に自己破産を依頼するメリット
続いて、弁護士に自己破産を依頼すると以下のようなメリットがあります。
⑴ 書類作成から裁判所の手続まで代行してもらえる
弁護士は、司法書士と同様、破産申立てに必要な書類を作成できます。
それに加え、司法書士と違い、地方裁判所での手続の代理も可能です。
破産申立人本人が裁判官と面接するような場合は、本人が裁判所まで出向かなければいけませんが、その場合も代理人の弁護士が同席し、必要な説明等を行うことができます。
申立後も含めて、自己破産手続きの多くを任せられるのは、破産申立人にとって大きなメリットです。
⑵ 費用が安くなることもある
自己破産は「同時廃止」または「管財事件」のいずれかに分類されて処理されます(どちらになるかは裁判所が決定します)。
債務を作った経緯に問題がなく、破産者の手持ちの資産が少ないようなケースでは「同時廃止」となります。
弁護士を代理人とせず本人が申し立てたり、処分してお金に換えられる財産が一定以上あったり、免責不許可事由があったりすると、「管財事件」に分類されることがあります。
管財事件では、裁判所が選任した「破産管財人」に破産申立人の財産の管理等が任されます。
破産管財人の報酬(50万円程度)は、破産申立人が払わなければならないため、自己破産する人にとっては大きな負担となります。
しかし、弁護士が代理人の場合に限り、管財事件であっても「少額管財」という、費用負担の少ない方法で処理されることもあります。
これは、申立ての時点で代理人弁護士が債務の形成原因や財産状況の調査等をある程度行うことで、破産管財人の負担が減り、人件費を抑えることができると考えられているためです。
司法書士に依頼して管財事件になった場合は「司法書士への報酬+破産管財人への報酬(約50万円~)」となりますが、弁護士に依頼して少額管財になった場合は「弁護士費用+破産管財人への報酬(約20万円~)」という形になるので、全体としては弁護士に依頼した方が低い費用で確実に自己破産を進められる可能性があると考えられます。
なお、少額管財の扱いや破産管財人への報酬などは裁判所によって運用が異なります。
⑶ 借金の金額に制限がない(140万円の壁)
司法書士が担当できるのは、個別の債務額が140万円以下の案件に限られます(140万円以下の案件でも、これを扱えるのは「認定司法書士」に限られます)。
また、司法書士ができるのは簡易裁判所での訴訟代理等に留まるので、地方裁判所や高等裁判所で扱われる事件については弁護士への依頼が必要になります。
弁護士の場合は、金額や裁判所の制限がないので、債務調査などの結果司法書士が取り扱えない案件になってしまった場合であっても、二度手間になりません。
特に、自己破産をすべきか、他の債務整理をすべきか悩んでいるのであれば、あらゆる手続を代理できる弁護士に相談した方が手間と時間を省けるケースが多いです。
3 自己破産と弁護士・司法書士に関するよくある質問
⑴ 弁護士・司法書士の違いは
最も大きな違いは、司法書士ができるのは書類作成のみであるということです。
司法書士は弁護士と違い、自己破産手続の代理人にはなれないので、裁判所の手続そのものに関与することが出来ません。
よって、自己破産申立て後の裁判所での手続は、破産申立人が平日に自分で赴いて行う必要があります。
弁護士の場合、自己破産手続の多くを一任することができます。
また、司法書士が担当できるのは、債務額が140万円以下の案件に限られます。
借金の金額が140万円以上であり、自己破産以外の方法の検討もしたい場合には、最初から弁護士に相談した方が時間と手間をおさえられる可能性があります。
⑵ 弁護士費用は司法書士費用より高いか
弁護士の方が守備範囲は広いとはいえ、「弁護士費用はかなり高額になるのでは?」と不安な方もいるかもしれません。
確かに、司法書士の方が自己破産の申立ての費用は低くなる傾向にあります。
もっとも、裁判所費用(破産管財人報酬)などを含め、全体としてはむしろ弁護士の方が費用をおさえられると考えられるケースも少なくありません。
破産者の資産が多かったり、債務の形成原因に問題がある場合、自己破産のうち「管財事件」となる可能性が高いです。
この場合、裁判所が選任した「破産管財人」という弁護士が破産申立人の財産の管理等を行います。
破産管財人の報酬(50万円程度)は破産申立人が支払いますので、司法書士に依頼した場合は「司法書士への報酬+破産管財人への報酬(約50万円~)」となります。
しかし、弁護士が代理人の場合に限り、管財事件であっても「少額管財」という、破産申立人の負担が少ない方法で処理されることもあります。
弁護士に依頼して少額管財になった場合は「弁護士費用+破産管財人への報酬(約20万円~)」という形になるので、全体としては弁護士に依頼した方が費用がおさえられ、かつ円滑に手続を進められると考えられます。
4 自己破産はまず弁護士にご相談ください
債務整理においては、司法書士が取り扱うことができる範囲は限定されていますが、弁護士であればそのような制限はありません。
借金問題・自己破産などの債務整理について困ったことがあれば、まずは当法人に、お気軽にご連絡ください。
管財人とはどういう立場の人ですか? 住宅が家族と共有になっているのですが、自己破産すると住宅はどうなりますか?